抜粋6(3)

  21,多く説くからとて、そのゆえんにかれが道を実践しているのではない。この世でたとい教えを聞くことが少なくても、身をもって体得する人、怠って道からはずれることの無い人ーかれこそ道を実践している人なのである。

  22,たといためになることを数多く語るにしても、それを実行しないならば、その人は怠っているのである。牛飼いが他人の牛を数えているようなものである。彼は修行者の部類には入らない。

  23、たといためになることを語らないにしても、理法にしたがって実践し、情欲と怒りと迷妄とを捨てたならば、その人は、修行者の部類に入る。 

  24,つとめはげむことを人々はほめたたえる。放逸なることはつねに避難される。マガバットは、つとめはげんだので、神々のなかでの最高の者となった。

 

  25,なすべきことに努めはげむことを賢者は常にほめたたえる。つとめはげむ賢い人は、(次に挙げる)二つのことがらを極めてよく把捉している。

  26,1つは、現世に関することがらであり、他の1つは来世に関することがらである。思慮ある人は、事がらを見きわめてさとるから、(賢明な人)とよばれるのである。

  27,修行僧は、つとめはげむのを楽しみ、放逸のうちに恐ろしさを見、悪いことがらを吹き払う。ー泥沼に落ちこんだ象のように。

  28,修行僧は、つとめはげむのを楽しみ、放逸のうちに恐ろしさを見、悪いことがらを吹き払う。ー風が木の葉を吹き落とすように。

  29,修行僧は、つとめはげむことを楽しみ放逸のうちに恐ろしさを見、微細なものでも粗大なものでもすべて心のわずらいを、焼きつくしながら歩む。ー燃える火のように。

  30,修行僧はつとめはげむのを楽しみ、放逸のうちに恐ろしさを見、一切の束縛の絆の消滅し突くすことを次第に体得する。

  31,修行僧はつとめはげむのを楽しみ、放逸のうちに恐ろしさを見、やすらぎの境地を体得する。それはつくり出すはたらきの静まった安らかさである。

  32,修行僧はいそしむことを楽しみ、放逸のうちにおそろしさを見、堕落するはずはなく、すでにニルバーナの近くにいる。

  33,起てよ。つとめよ。平安を得るために、ひたすらに学べ。心が落ち着かないこと、放逸、奮起しないこと、わが身を制しないこと、

  34,睡眠、惓怠・惰情ーこれらは修行の妨げである。そのよすがを知り突めよ。ー心の落ち着きが妨げられることの無いように。

  35,奮起せよ。怠けてはならぬ。善き行いのことわりを実行せよ。ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。

  36,修行僧らは、つとめはげむものを楽しめ。よく戒めをたもて。その思いをよく定め統一して、自分の心をまもれかし。

  37,さあ、奮い立て。外へ出て行け。仏のみ教えにつとめよ。死王の軍勢を追い払え。ー象が葦の生えている住居を出て行くように。

  38,この説教と戒律とにつとめはげむであろう人は、生れをくりかえす輪廻を捨てて、苦しみの終滅に達するであろう。