抜粋7  感興のことばより

第5章

  1,愛するものから憂いが生じ、愛するものから恐れが生ずる。愛するものを離れたならば憂いは存在しない。どうして恐れることがあろうか?

  2,愛するものから憂いが生じ、愛するものから恐れが生ずる。愛するものは、変滅してしまうから、ついには、狂乱に帰す。

  3,世間の憂いと悲しみ、また苦しみはいろいろである。愛するものに、由って、ここにこの一切が存在しているのである。愛するものが存在しないならば、このようなことは決して有り得ないであろう。

  4,それ故に、愛するものがいかなるかたちでも決して存在しない人々は、憂いを離れていて、楽しい。それ故に、憂いの無い境地を求めるならば、命あるものどもの世に、愛するものをつくるな。

  5,愛するものと会うな。愛していないものとも会うな。愛するものを見ないのは、苦しい。愛しないものを見るのも苦しい。