抜粋6

第4章

  1,つねに励むのは不死の境地である。怠り怠けるのは死の足跡である。つとめ励む人々は死ぬことが無い。怠りなまける人々は、つねに死んでいる。

  2、つとめはげむことについてこの区別のあることを知って、賢い人、聖者は、自分の境地であるつとめはげむことをいつも喜ぶがよい。

  3,たえず(道に)思いをこらし、つねに健く奮励する、思慮ある人々はニルバーナに達する。これは無上の幸せである。

 

  4,賢明なる人がつとめはげみによって放逸をたち切るときに、智慧の高閣に登り、憂いを去って、憂いある人びとを見下(おろ)す。山の上にいる人が地上の人々を見下すように。

  5,聡明な人は、奮い立ち、努めはげみ、自制、克己によって、(よるべとしての)島をつくる。激流もそれを押し流すことができない。

  6,ふるい立ち、思いつつましくこころは清く、気をつけて行動し、自ら制し、法にしたがって生き、つとめはげむ人は、名声が高まる。

  7,心のなかで、怠ってはならぬ。絶えず沈黙の教えを実行せよ。休らいに帰し、つねに専念している修行完成者には、憂いは存在しない。

  8,下劣なしかたになじむな。怠けて人々とともにふわふわと暮らすな。邪な見解をいだくな。世俗のわずらいをふやすな。

  9,世俗的であっても、すぐれた正しい見解をもっているならば、その人は千の生涯を経ても、地獄に落ちることがない。

 10,智慧乏しき愚かな人々は放逸にふける。しかし心ある人は、つとめはげむのをまもる。ー隊商の統領が財宝を(大切に)まもるように。

 11,叡智の無い愚かな人々は放逸の状態をつづけている。つとめはげむ人は、つねに瞑想し、汚れの消滅を達成する。

 12,放逸に耽るな。愛欲と歓楽に親しむな。おこたることなく思念をこらす者は、不動の楽しみを得る。

 13,今や怠りなまける時であってはならない。煩悩の汚れを滅ぼし尽くさないならば、その放逸なる人を、悪魔がつきそって行く。鹿の母が獅子につきそって行くようなものである。

 14,放逸で他人の妻になれ近づく者は、4つの事がらに遭遇する。ーすなわち、禍を招き、臥して楽しからず、第3に避難を受け、第4に地獄におちる。

 15,禍をまねき、悪しところ(地獄)に堕ち、相ともにおびえた男女の愉楽は少なく、王は重罰を課する。人は他人の妻になれ近づいてはならぬ。身体が崩壊したのちには、地獄で火に焼かれる。

 16,自分の益になるものであると知り得ることを、あらかじめ為すべきである。(無謀な)車夫のような思いによらないで、賢者はゆっくりと邁進すべきである。